BLSを徹底比較
ASEANからアメリカに売ることになる。
アメリカで日本製品を買うと、の房と書いてあることがよくあります。
こうして直接投資は入ってくるし、輸出は増えるという、ASEANから見れば夢物語みたいな状況が、プラザ合意をきっかけに始まったのであります。
そんな状況がまる一○年も続いたものですから、今度は当たり前のようになってしまいました。
これからもまだまだこの好景気が続くのだろうと思われていましたが、皆さんもご存じ速のとおり一九九五年の八月から円の下落、暴落が始まりました。
今でこそタイのバーツが峡売られたとか、マレーシア・リンギッドが危ないとか言われていますが、過去二年間を見”ますと、主要国通貨で一番弱かったのは円なのです。
だこうしてASEANの国々にとって一番重要な外部環境であった円高がなくなってしまったのですが、ASEANの国々にとっては、大変な出来事でした。
円高どころか一転円安になったため、日本の企業がわざわざASEANに投資する理由もメリットもなくなったのです。
さらには、ASEANの工場でできた製品を、日本が買うメリットもなくなりました。
一ドル一○○円や一○五円くらいまでの円安ならともかく、「日本売り」で一ドル三○円や一三○円になったのだから、ASEANにとっては大変な事態となりました。
円安はASEANの国々にとっては、ダブルでマイナスに働いたわけで、競争力はガタ落ちし、経常赤字、貿易赤字は急速に悪化していきます。
ASEANの通貨危機の理由なのです。
もしも自力で国民を教育して技術を持っていって、そこに一部外資が入ってきたということであれば、状況は違ったでしょう。
けれどもASEANの場合は、自分のところに何もないときに日本が資本も技術も教育も全部持ってきたのです。
ASEANは、一○○パーセント外資依存型経済発展であったわけです。
私も円高の時期に一回マレーシアに行ったことがあります。
そのときマレーシアでビデオをつくっている日本のメーカーの方から、「なぜ我々がマレーシアにこんなに投資しているか分かりますか」と聞かれました。
私は「労働賃金が安いからですか」と聞いたのですが、返ってきた答えはなんとそうではなくて、「地元に部品メーカーが一社もないからです」ということでした。
地元に部品メーカーが一社もないということは、そこに投資をしてもそこの政府から現地調達比率を要求される理由がないのです。
例えば韓国や台湾には、国内にそれだけの技術力を持つメーカーがたくさんあります。
そうなると、政府はそれらのメーカーにも恩恵がいくように、現地での部品の調達比率をいろいろ要求してきます。
最低三割欲しいとか、五割とかいった話で、投資するほうにとっては、本当に安くていい部品が入ってくるのかなどの不安や心配が残ります。
現地のパーツメーカーが一つもないマレーシアなら、その心配はありません。
おまけに労働賃金は安く、教育水準はそれなりに高い。
だからマレーシアに投資したのです。
世界中から一番いい部品を安く買って、マレーシアで組み立てて、そこから輸出している。
逆に言うと、マレーシアにそれだけの実力があるから投資したのではなく、何もしかも、ASEANの場合、円高という非常に重要な外部要因が円安に変わったことに対する対応がかなり遅れてしまったわけです。
当然日本からマレーシアに投資する理由がなくなってしまいます。
多くの日本企業は、一ドル一二○円なら十分日本国内でやっていけるからです。
円安がもたらした非常に大きな変化であるという気がします。
過去二年間、世界で一番強い通貨はドルでした。
このドルと一緒にASEANの通貨は上がってしまったのです。
一緒に上がると、それだけ国際競争力が失われます。
アメリカも実は大変大きな貿易赤字を出しているものの、それでもアメリカに投資をしたがる人はたくさんいます。
ですから、今のところアメリカは安泰なのですが、ASEANはそうはもう一つASEANの国々にとって大きな外部環境の変化は、中国の台頭です。
日本の企業が一九八○年代後半ASEANに工場を移していったときに、中国というのは彼らの視野にまったく入っていませんでした。
あの当時、日本から海外へ工場移転させるというと、アメリカに持っていくか、ASEのです。
けれども今、中国という選択肢が我々の目の前にあります。
中国は、労働賃金は低いし、文化的にも非常に近いものがあります。
漢字も通じるし、中華料理もうまい。
しかも、中国は国内マーケットとしても大変有望です。
マレーシアは千数百万人しか人がいませんが、中国ですと一二億人のマーケットがある。
しかも、その経済は年率一○パーセント近くで拡大している。
ASEANは回教の国が多いため、しきたりも日本とは違いますが、中国だったらよく分かります。
この地域の資本輸出国といえば日本と台湾ですが、日本と台湾からすればASEANより中国のほうがはるかに身近に感じます。
こういうメリットが重なり、今、実はお金が中国に向かっているのです。
実際にASEANの通貨が下がって、中国の人民元が上がっています。
人民元が上がっているということは、中国に外資が殺到しているということであります。
外資を使って経済発展をするというのは、ASEANがずっとやってきたことですが、今中国がやろうとしているのです。
日本や台湾の企業など投資をする側は当然のことながら、多くの要因を考慮しながら投資対象国のランキングをつくります。
例えばナンバー1はマレーシアで、次がタイ、インドネシアの順といった具合になりますが、お金のほとんどはナンバー1のところへ行きます。
ナンバー2やナンバー3になりますと、もう多くの投資は期待できません。
ナンバーお金は集まってしまうのです。
ASEANは、今そのナンバー1の座を中国に奪われようとしているのです。
このような投資先ランキングをやれば、おそらく最悪なのは日本です。
今海外から日本にくる直接投資は、海外からカンボジアにくる投資よりも少ないと言われますが、日本に魅力がないということの裏返しでもあります。
とはいえ日本はかなりの部分自力でここまでやってきたのですから、外資が入ってこなくても、そんなに緊張する必要はありません。
ASEANはそうはいかないのです。
ASEANでは、地場産業がまだそれほど育っていないからです。
まだまだ外資で一生懸命経済発展をしようとしているときに、中国という大変な競争相手が出てきてしまったのです。
中国が現れると、当然外資から見ればマレーシアに投資しようか、中国に投資しようかという判断になります。
そうするとやっぱり中国のほうが面白いとなります。
今は儲からなくても、一二億の市場がそこにあるので足場を築いておこうという発想も働くでしょう。
しかもマレーシアはちょっと高くなりましたね、と捨てられ、お金はどんどん中国へいってしまう。
中国が出てきたことに対して、ASEANはもっといろいろな対応をとらなくてはならないのです。
今までは中国がなかったから、それなりの条件を外資に出しても、外資は一生懸命やってきました。
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